社長日誌―我が家が無防備になれる場所であるために(中編)

中澤達浩が日々の家づくりを日誌にしてます。

社長日誌―我が家が無防備になれる場所であるために(中編)

投稿日:2026年6月11日

株式会社A.C.Regalie代表の一級建築士・中澤達浩が、福島の過酷な冬を科学的な視点で紐解く『社長日誌 福島』の家づくりブログ(中編)です。前回のC値(気密性能)に続き、今回は住まいの寿命と家族の健康の核心である「断熱性能(UA値)」の真実へ切り込みます。


【● 2つ目の取り組み:UA値(断熱性能)】
断熱等級7を全棟実施する、福島での私たちの家づくり

いまは普通の「断熱等級6」に隠される死角とは?
もし、2021年1月9日の大寒波(最低気温-10.4℃)が襲ったら、私は、家族はどうなる?仕事へも行けない事態に!

今、「断熱等級6」を最高峰のように謳い、業界ではブームが起きています。「それはなぜ?」世間がようやく、それ以下の基準では、福島の凍える冬の寒さを到底凌げないことを今さら分かったからです。しかし、何かがおかしい…一昨年まで「断熱等級5で十分だ」と各所の営業マンが口を揃えて言っていたのに(笑)。

高断熱を牽引する日本最大の2団体、新住協やHEAT20の最前線では、すでに断熱等級6は家ではないとし、『断熱等級7』を必須としています。「それはなぜ?」HEAT20は、大手HMや大学研究者からなる国の「家の省エネ検討機関」に属している研究者らが、「もうこの機関には任せてはおけない」と、真剣に日本の家の性能・生活を危惧して一部の研究者らが設立した団体だという事実を知ってほしいのです。

福島の平均的な冬の朝。明朝6時の時点で、「断熱等級6」の家は室温が強制的な無暖房で25℃→16.1℃(約-9℃)まで落ちます。一方、無暖房の冬の朝でも25℃→20.3℃(約-5℃)をキープするのが「断熱等級7」の家。その差はたった4.2℃です。しかし、この近くて遠い「4.2℃の差」にこそ、住む人の健康を守るための「差の科学的エビデンス」があります。健康維持の防衛ライン(WHO基準18℃)を、等級6ではいとも簡単に割り込み、足元の床温度は11℃付近まで冷え込み、ヒートショックのリスクと十分なり得るのです。

そんな状態でもし、あの2021年1月9日の大寒波(最低気温-10.4℃)が再び襲ったら……。室内の機器はその寒さに耐えることができず、エラーが多発します。水道管の水が凍る、給湯器も機能停止、お湯も出ない。等級6の家は室温が10℃以下と寒さに凍える事になります。他方で『断熱等級7』の家は、無暖房で16.2℃未満にはなりません。

営業は言います。「福島なら等級6で十分暖かいですよ!」「寒くても太陽光発電と全館空調(床暖房)があれば大丈夫」と。その言葉が私への危機管理の程度を表しています。しかしなぜ、営業はそのように言うのだろう…いや、言わされるのだろう?

大人の事情(物理的・経済的限界)で、壁の厚みを物理的に増やす『断熱等級7』の施工技術が未だに確立できていないからです。一棟一棟、職人が手作業で外張りを施す手間とコストを嫌い、自社の施工技術不足を隠すために「等級6で十分」というトークで目を欺いているのかもしれない。
(YouTube#有名ハウスメーカーの営業マンが “絶句”していました。「お客様の声」より)

カタログの言葉を信じた施主が、入居後に「やっぱり福島の冬の朝は寒い」と後悔しながらも、「どの家も同じだ」と自分を納得させているのが現実なのかもしれない。機械頼みの危機管理の欠如は、どこでも一緒なのか?

性能不足の家を温めるために、全館空調や床暖房をフル稼働させ続ける。日本の機器は今や10年で壊れることを前提に作られているというのに、その後のアフターにはどれほど「時間と労力と資金」を私に使わせようとしているのだろうか?それだけではない。突発的な異常寒波が私の住む福島を襲った時、システムは霜取り運転を連発して機能停止に陥り、最も暖まりたい極寒の朝に、室内が凍りつくという事態が現実化するのです。【2021年1月9日の大寒波の被害より】

要するに、C値=0.5㎠/㎡以下という完璧な気密の家に、新住協やHEAT20の現時点での英知を結集した「断熱等級7」を融合させ、「科学し、立証し続けた家」であれば、そのような悲しい未来は現実化しません。「快適とは不快を感じないこと。」
(YouTube#95 心臓血管の名医が語る快適な家「お客様の声」より)

ABOUT AUTHOR / この記事を書いた人

中澤達浩

誕生:1967年3月(魚座)
出身:山梨県生まれ
趣味:釣り

株式会社A.C.Regalie 代表取締役

中澤 達浩 Tatsuhiro Nakazawa

一級建築士
一級建築士事務所所長
専攻建築士(住宅専門設計士)
住宅省エネルギー設計・施工技術者
住宅品質確保法設計士(長期優良住宅の上位版)
気密測定技能者
住宅収納スペシャリスト
整理収納アドバイザー2級
その他多数

設計と施工の両輪で磨き上げた「本物の家づくり」への軌跡

■ ゼネコン設計部から「職人・現場監督」の修行時代へ
東海大学を卒業後、大手ゼネコンの設計部に勤務。その後、平成5年に「現場の真実を知るため」に退社し、職人の世界へ。全国指折りの匠のもとで3年間の職人修行、さらに3年間の現場監督として研鑽を積む。師匠から免許皆伝を受け、独り立ちする頃には、多くの顧客に恵まれる人気の現場監督となる。

■ 1999年9月 〜 福島県への転居と拠点の設立
子どもの誕生を機に、配偶者の実家がある福島県へと転居。福島で「本当に良い家づくり」をゼロから目指し、2001年に建設会社「誠栄ハウス」を共同出資で設立。同時に設計事務所「ビルド・ファクトリー設計事務所」も立ち上げ、設計・施工の両面から福島の住環境へアプローチを開始。

■ 2014年11月 〜 「株式会社A.C.Regalie」設立
確固たる実力と独自の建築思想を遺憾なく発揮するため、独立して建設会社「株式会社A.C.Regalie」を設立。多くの顧客に熱く支持される人気の工務店へ。さらに同年、業界内で大きな話題を呼んだ超省エネ・高性能住宅「キューワン住宅」を発表。現在も福島の風土に最適化した科学的アプローチを提唱し続けている。

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