
中澤達浩が日々の家づくりを日誌にしてます。
社長日誌―我が家が無防備になれる場所であるために(後編)
投稿日:2026年6月11日
株式会社A.C.Regalie代表の一級建築士・中澤達浩が、住まいの寿命を縮める『壁体内結露 福島』の真実対策を科学的な視点で紐解く社長日誌(後編)です。前編(気密)、中編(断熱)に続き、今回は住まいの寿命と家族の健康を根底から揺るがす『壁体内結露 福島』の真実対策について徹底解説します。
【● 3つ目の取り組み:壁体内(躯体内)結露(住まいの寿命)】
「結露をする家」に住みたいか?
誰も疑わなかった隠蔽された壁の中で、家と健康が静かに腐食していく。
「福島の四季に家の呼吸を科学した。」
国立保健医療科学院「建築の結露と健康性」によれば、「断熱を高めるほど、壁体内結露の対策を誤れば家は一瞬で腐る」と、その資産リスク、健康リスクを強く危惧しています。これは、今流行の断熱だけを誇張し、気密や壁の呼吸を考慮できていない住宅会社への国立保健医療科学院の小さな声ですが、明確な警告でした。
私たちは、住宅の専門家として、壁の内部に湿気を溜め込まない「家」を必須としなければいけません。実は冬と夏では、室外と室内の「湿気の流れる向き」が真逆になります。
そもそも、湿気とは何でしょうか?その分子の大きさは、約0.3ナノメートルしかありません。比較として、インフルエンザウイルスは約100ナノメートル(水蒸気の約300倍)、PM2.5は2,500ナノメートル(水蒸気の約8,000倍)、スギ花粉は約30,000ナノメートル(水蒸気の約10万倍)です。だからこそ湿気は、医療用マスク(N95等)であっても簡単にすり抜けることができるほど微細なのです。
全国的にも福島の四季は非常に過酷です。冬は寒く重たい雪、乾いた冷たい風が吹き、夏は湿気を含むまとわりつく暑さが襲います。この他地域との大きな違いに加え、春や秋は暖かいと思えば、冬物を出したくなるような寒さも唐突に私たちを慌てさせます。さて、こんな過酷な気候のとき、家の中では一体何が起こっているのでしょうか?
先述した通り、外と室内の「湿気の流れる向き」が真逆になります。しかし、一般的な現在の家のつくりは、冬に室内から壁へ逃げる湿気を止めることしか出来ません。残念な事に、20年前からこの構造的なつくりはアップデートされていないのが日本の住宅業界の現実なのです。
では、福島の蒸し暑い夏はどうでしょうか。外の強烈な湿気が、エアコンで冷やされた室内に向かって壁の裏側から一気に襲いかかります。だがどうでしょう。アップデートされていない20年前のつくりでは、その湿気を壁の中に閉じ込めてしまい、内部で大爆発を起こすように結露(夏型結露)が発生してしまうのです。それは、わずか数年で柱や土台を腐らせるほどの恐ろしいパワーを持っています。
この過酷な現象は、熱伝導率の高い「鉄の家(鉄骨造)」では更に深刻化し、結露が加速します。そうなると当然、誰もがその健康被害(カビ・ダニによる喘息やアレルギー発症)を予見できる最悪の環境が、目に見えない壁の裏側で完成してしまうのです。新築の家に入った後に、子どもがなぜか病院に通うことになる数々の悲しい症例は、国立保健医療科学院が危惧するこの壁体内結露が原因の一端にあるかもしれません。
これを防ぐには、冬は湿気を通さず壁を守り、夏は壁の中の湿気を室内に逃がして「壁の中を呼吸させる」という、自然物理の摂理に逆らわない科学的アプローチが必要不可欠となります。しかし、ハウスメーカーの営業はここでも無知を晒します。「通気工法をとっているので、壁の中が結露することはありません!」と自信満々に言い放つのです。
水分が空気の対流だけでなく、防ぎようのない「分子の拡散」によって断熱材を音もなく突き抜けていく建築物理の基本を知っていても、大人の事情(物理的・経済的限界)で、現場の彼らにはその真実が伝わっていません。だからこそ、会社から支給されたマニュアル通りのトークで素人の施主を欺いてしまうのです。
この誤った対策のまま進んだ場合、今後訪れる20年後、30年後の厳然たる事実としては何が待っているでしょうか?それは、柱や土台が完全に腐り、大きな地震が来れば一瞬で倒壊してしまう「耐久性がゼロになった我が家」の姿です。それだけではありません。壁の内部で爆発的に繁殖したカビの胞子が気密の隙間から室内へ漏れ出し、最愛の家族が慢性的な呼吸器疾患に一生悩まされるという悲劇の可能性を大いに秘めているのです。
要するに、C値=0.5㎠/㎡以下の気密、断熱等級7という完璧な断熱に、最外部から外断熱+付加断熱の圧倒的な断熱層を重ね、さらに室内側に『可変透湿気密シート』を正しく施工して「科学し、立証し続けた家」であれば、国立保健医療科学院が危惧するような悲しい未来は絶対に現実化しません。「快適とは不快を感じないこと。」なのです。
(YouTube #95 心臓血管の名医が語る快適な家「お客様の声」より)
ABOUT AUTHOR / この記事を書いた人

誕生:1967年3月(魚座)
出身:山梨県生まれ
趣味:釣り
株式会社A.C.Regalie 代表取締役
中澤 達浩 Tatsuhiro Nakazawa
設計と施工の両輪で磨き上げた「本物の家づくり」への軌跡
■ ゼネコン設計部から「職人・現場監督」の修行時代へ
東海大学を卒業後、大手ゼネコンの設計部に勤務。その後、平成5年に「現場の真実を知るため」に退社し、職人の世界へ。全国指折りの匠のもとで3年間の職人修行、さらに3年間の現場監督として研鑽を積む。師匠から免許皆伝を受け、独り立ちする頃には、多くの顧客に恵まれる人気の現場監督となる。
■ 1999年9月 〜 福島県への転居と拠点の設立
子どもの誕生を機に、配偶者の実家がある福島県へと転居。福島で「本当に良い家づくり」をゼロから目指し、2001年に建設会社「誠栄ハウス」を共同出資で設立。同時に設計事務所「ビルド・ファクトリー設計事務所」も立ち上げ、設計・施工の両面から福島の住環境へアプローチを開始。
■ 2014年11月 〜 「株式会社A.C.Regalie」設立
確固たる実力と独自の建築思想を遺憾なく発揮するため、独立して建設会社「株式会社A.C.Regalie」を設立。多くの顧客に熱く支持される人気の工務店へ。さらに同年、業界内で大きな話題を呼んだ超省エネ・高性能住宅「キューワン住宅」を発表。現在も福島の風土に最適化した科学的アプローチを提唱し続けている。
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